実に1年ぶりの更新です.みなさんお久しぶりです.
供述
同年代の社会人が,ボーナスでカメラをポチったり,CNCをポチったり,旅行に行ったりしているのを見て,わたしにもできると思った. 後悔はしていない.
手滑らせてなにか買いたいけど今じゃない
— 🦋ところたん🦋 (@tokoro10g) December 10, 2019
Photon
— 舌下免疫taniho (@taniho_0707) December 10, 2019
判断力が低下している pic.twitter.com/pSPS5ZXzqu
— 🦋ところたん🦋 (@tokoro10g) December 10, 2019
即オチ3コマ.
どれを買ったか
まず,3Dプリンタには雑に大きく分けて2種類があります.
- 温めた樹脂を練り出すタイプ
- レーザーや紫外線等を当てて液体樹脂を硬化させるタイプ
いわゆる3Dプリンタとして有名なのは1つめのタイプではないでしょうか. 今回私が購入したのは,2つめの「光造形」と呼ばれる方式の3Dプリンタです.
通常,光造形方式は練り出す3Dプリンタと比較して製造コストが高く,ホビー用途としてはかなり高嶺の花[1]だったわけですが,ここ数年の間でLCD-SLAという簡易的な方式が確立されてから,かなり安価に手に入るようになりました. LCD-SLA方式は,UVレジン(ジェルネイルとかにも使うやつ)に紫外線を照射する際に,間に挟んだLCDスクリーンで積層パターンをマスクするという方式です. とはいってもお値段はだいたい5万円〜と,気軽に買える価格ではなかったのですが…
これを見て手を滑らせてしまったよ… [2]
購入したのはこちらのAnycubic Photon. 500mLのレジン付きで 262ドル !!! 定価が450ドルなのでおよそ4割引です.4割引といえばスーパーのおすしの最終値引きぐらいのお得感です.つまりめっちゃお得.
↓ 実際の出力結果とこれからどうしたいかについて書きます.
実力はどうか
ということで博士論文発表会を年明けに控えた今,現実逃避がてら動かしてみようと思います. データは標準で用意されているテストパターン. UV照射時間のキャリブレーションに使えるようになっているらしいですが,とにかくワクワクしてプリントしたい気持ちでいっぱいです.
だいたい45分ぐらいで高さ15mm程度のモデルの出力が完了しました. これは未硬化のレジンを洗浄してからUVランプで追加の硬化をさせているシーンです.
おおおーー pic.twitter.com/78UlcbXzPG
— 🦋ところたん🦋 (@tokoro10g) December 21, 2019
光造形方式の特徴は,とにかく高精細な出力ができること. Photonも例にもれず素晴らしい出力結果が得られました.
わかりにくかったのでもう一枚 pic.twitter.com/svD0hfSO66
— 🦋ところたん🦋 (@tokoro10g) December 21, 2019
ただし,横からよく見るとまっすぐであるはずの部分が曲がっています.
うーん歪んでるなあ pic.twitter.com/A9tN0KJoFj
— 🦋ところたん🦋 (@tokoro10g) December 21, 2019
どうも硬化が全体的に甘いようです. 原因をいろいろ考えてみたのですが,今回プリントしたテストパターンがPhotonの後継機であるPhoton S向けのものだったことが原因なのではないかと考えています. Photon SはUVランプの出力が強くなっていて,その分照射時間が短く設定されているためです. ということで,今度は自作のモデルをもう少し長い照射時間で出力してみようと考えています.
歪みを軽減する方法等については,こちらも参考になるんじゃないかなと思います.
- 3Dプリンター 光造形機で綺麗に出力する方法とか処理等。[DWSシリーズデジタルワックス、Form2、HD3500、パーファク] - Togetter この中で紹介されている,水につけながら出力後の硬化をさせる方法は,近いうちに試してみようと思います.
Photon購入時の注意 (12/30追記)
今回届いたPhotonは,初期のPhotonとはハードウェア構成が異なります. 海外のフォーラムでは俗にFauxton[3]と呼ばれています. ものとしては,基板が後継機のPhoton Sのものに変わっているだけです. どうも9月頃からこのタイプのものを送るようになったようですが,それ以降にゲットした人も旧来型を入手していたりしてよくわかりません.
見分け方はいろいろありますが,ざっくり以下を確かめれば良いでしょう.
- UIの表示
起動時のUIについて,Photonの場合は正方形のボタンが3つ横に並んで表示されますが,Fauxtonは横長のボタンが3つ縦に並んで表示されます. - Print画面からpwsファイルが選べる
Photon Sの基板なので,当然のようにPhoton Sのファイルが選択できます.
ただし,Photon Sとは異なり搭載されているUVランプの出力は従来のPhotonのままですので,Photon S向けのpwsファイルをそのままプリントすると形が崩れます.
使用にあたって用意したもの
3万円と書きましたが,本体以外にもいろいろ必要になります.
- ネイル用UVライト
- キムタオル(必須!!)
- 塗料用ストレーナー
- 使い捨てゴム手袋
- ポリプロピレン容器
- ろうと(不要でした)
- 無水エタノール
- イソプロピルアルコール(IPA)
- 蓋付きガラス瓶(レジン洗浄時に使います)
以下,アフィリンクになっているので嫌な人は踏まないでください.
改造したい
3万円はふつうに考えると高額ですが,ものづくりを趣味にしていると感覚が麻痺してしまって,これぐらいなら壊しても大丈夫と思ってしまうぐらいの微妙なラインかなと思います. Photonに関しては,保守パーツもそれなりに安く出回っているようですし. ということで,もっと便利にPhotonを使えるように改造を施したいなと考えています.
たとえばこんなの:
- Z軸のリニアレールやボールねじの調整・交換
どうも歪みがありそうなので,長物を作りたいときのために調整・交換したいです. - レジン自動継ぎ足し
長時間のプリントをする際に自分でレジンを継ぎ足すのはめんどくさい… - プリント完了通知
PhotonのメインボードはChituboxという中国のメーカーが製造している汎用基板を使用しているようです.UARTのポートもご丁寧にシルクで示してあるので,何かデバッグ出力が出ていればいいなと思っています.ESP32も家に余ってるし.
おまけ
UVライトの説明書にあった怪レい日本语
— 🦋ところたん🦋 (@tokoro10g) December 21, 2019